債務整理 住宅ローン特則

個人再生の住宅ローン特則とは?

 

個人再生だと自宅を処分せずに手元に残せると聞いたんですが、どのような仕組みになっているんですか?


 

 

個人再生には住宅ローン特則というものがあり、これを利用すると住宅ローンを残したまま他の借金を減額できるのです。


 

個人再生の最大のメリットが住宅ローン特則です。

 

個人再生では、民事再生法の10章で定められた住宅資金貸付債権に関する特則というものがあります。これが、通称「住宅ローン特則」と呼ばれるものです。住宅ローン特則を利用すると、個人再生で他の借金を減額してもらいつつ、今の住宅にそのまま住み続けることが可能になります。

 

他の債権はすべて裁判所に申告し、平等に減額して返済する必要があります。そのため、本来であれば個人再生には「債権者平等の原則」があるため、特定の債権者にだけ全額返済するということは許されませんが、住宅ローンだけは特別扱いしてもらえるのです。

 

住宅ローンは通常、銀行や保証会社による抵当権が設定されています。抵当権は民事再生法や破産法の影響を受けることなく行使できる権利にあたるので、もし住宅ローンを個人再生の整理対象にすると伝えると、住宅は銀行や保証会社に競売にかけられて売却処分されてしまいます。

 

しかし、住宅を奪われてしまうと個人債務者の経済的な再建が困難になってしまい可能性があります。そのため個人再生では、債務者保護の観点から住宅ローンだけを特別扱いすることを認めることにしたのです。

 

ただしこの場合、住宅ローン債務そのものは減額されないので、住宅ローンは全額きっちり支払っていくことになります。逆に言えば、住宅ローン以外の借金は勝手に全額返済してはいけないということです。

 

住宅ローン特則を利用するための条件

住宅ローン特則を利用するには一定の条件を満たす必要があります。

 

住宅ローン特則の利用条件

  • 住宅の購入価格のローン、またはリフォーム代金のローンであること
  • 債務者本人が所有している、本人の居住目的の住宅であること
  • 銀行または保証会社の抵当権が設定されていること
  • 住宅ローン以外の借金で住宅に抵当権が設定されていないこと
  • 個人再生の借金返済と住宅ローンの返済の両方を継続する収入があること
  • 保証会社の代位弁済があった場合、そこから6か月以上経過していないこと
  • 住宅ローン残高が住宅の時価評価額よりも多いこと

 

大前提として、住宅ローン特則は住宅ローンを減額する特則ではないため、最終的には住宅ローンを全額返済する必要があります。また、住宅ローン特則の対象となるのは、債務者本人が居住用に利用している住宅1棟のみです。投資目的のマンションやアパート、事業目的の住宅やビル、別荘、別宅、2件目以降の住宅などは対象外となります。

 

住宅ローンが残っている住宅であれば、その住宅ローンの債権者である銀行や保証会社などによって住宅に抵当権が設定されています。これについては問題ありませんが、住宅ローン以外の借金についてまで住宅に抵当権が設定されている場合は住宅ローン特則を利用することはできません。

 

金融機関によっては不動産を担保に取った融資を行っているところがあります。これは不動産担保ローンと言い、主にビジネス目的や事業融資を受ける場合に多いです。これらの多くが根抵当権と言って、一定範囲の金額を上限に何度もお金を貸したり借りたりを繰り返す事業目的の融資の担保として住宅に抵当権を設定しています。

 

この根抵当権が設定されている住宅は、個人再生の住宅ローン特則を適用することができません。

 

また住宅ローンの返済が終わりそうな場合や、完済後の場合は注意が必要です。

 

住宅ローン残高より住宅の時価が高い場合は要注意

すでに住宅ローンの返済が折り返しに差し掛かっている場合などで、住宅の時価評価額の方が住宅ローンの残高よりも高くなってしまうケースがあります。

 

個人再生では借金の返済額を決める時に、持っている財産の価値よりも低く減額することを認められていません。例えば住宅ローンの残高が1000万円なのに対して、住宅の時価評価額が1300万円の場合、住宅ローン特則を使うことはできますが、差額の300万円が資産扱いになってしまいます。

 

300万円の価値の資産を保有している状態で個人再生をすると、清算価値保障の原則から最低でも300万円以上の現金を返済しなければならなくなってしまいます。

 

清算価値保障の原則とは?

清算価値保障の原則とは、個人再生の再生計画において債務者が清算価値以上の返済を債権者に対して保障する原則のことを言います。清算価値とは財産をすべて現金に換価して清算した場合の価値のことです。例えば銀行口座の預金、株などの有価証券、保険の返戻金、住宅や車など、これらすべての現金価値のことです。

 

つまり、自己破産して住宅や車などの財産を処分しなくてもいい代わりに、少なくとも自己破産をする場合よりもたくさんの金額を債権者に保障するということです。

 

もし住宅ローンの残高が多い場合は影響ありませんが、住宅ローン残高が例えば500万円で住宅時価が1500万円の場合、個人再生で1000万円以上を現金で返済しなければならない状態になってしまうため、個人再生をする意味がなくなってしまうのです。

 

個人再生の清算価値は、自分で適正な評価額を算出することは困難です。そのため弁護士などの専門家に相談し、個人再生をすべきかどうか検討した方が良いでしょう。


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