債務整理 自由財産

自由財産とは

 

自己破産をしたら全財産失うわけじゃないんですか!?


 

 

自己破産をしても全ての財産が処分されてしまうわけではありません。

 

自己破産をする時に処分される財産と、処分されない財産があります。処分されない財産のことを「自由財産」と言います。


 

自己破産をすると何もかも失ってしまうというイメージが強いですが、自己破産をしても処分されない財産があります。その財産のことを「自由財産」と言います。

 

自己破産手続きには「同時廃止」と「管財事件」の2つがあります。同時廃止の場合は差し押さえ可能な財産がないということなので、今持っている財産は全て手元に残すことができます。一方、管財事件の場合は原則手持ちの財産は破産財団となり差し押さえの対象となります。

 

管財事件になった場合、全ての財産は必ず「破産財団」「自由財産」「新得財産」の3つのどれかに分類されます。破産財団は破産管財人により処分される対象となる財産、自由財産は没収されることなく自己破産手続き後も保有し続けることができる財産です。また、自己破産手続き後に取得した財産は新得財産と言います。

 

自由財産に該当する財産は?

破産法で自由財産として定められているのは以下の3つです。

 

  1. 99万円以下の現金
  2. 差押禁止財産
  3. 拡張が認められる財産

 

99万円以下の現金は無条件で保有することが認められています。ここで言う現金というのは、あくまで紙幣や硬貨のことで、銀行の預金口座などは含まれません。なお、一部の裁判所の運用では「普通預金」も現金相当物として扱われていますが、多くの裁判所では「現金だけ」と解釈されています。

 

なぜ現金は99万円まで保有できるの?

そもそも民事執行法では「差押禁止動産」として現金66万円以下の没収は禁止されています。つまり66万円以下の手持ちの現金は法律で差し押さえることができません。民事執行法の131条の3号では、「標準的な世帯の2か月の必要経費を勘案して政令で定める額の金銭」は差し押さえてはならないと定められています。この「政令で定める額の金銭」が1か月33万円と定められているのです。

 

このように民事執行法の基準では、「2か月分は差押禁止」とされていますが、破産法34条3項1号では「民事執行法131条3号に規定する額に2分の3を乗じた額の金銭」は破産財団に属しないと定められており、少し拡張されて「3ヶ月分」までは所有が認められているのです。

 

差押禁止財産とは

自己破産手続きでは現金以外に処分されない「差押禁止財産」というものがあります。

 

差押禁止財産には、生活に必要な衣服や家具や1か月間の生活に必要な食糧や燃料、印鑑、技術者や職人の業務のための器具、学習に必要な書類や器具、仏像や位牌、勲章やトロフィーなど名誉を表彰するもの、義足や義手、身体補足の器具、災害の防止や消防設備などが該当します。

 

自己破産手続きでは一般家庭にあるような日用品、生活のための家具や家電まで没収されることはありません。またゲームや漫画、CDなど処分価値が低い小物も処分されません。ちなみに、税金の滞納処分と自己破産の財産処分を混同している人もいるかも知れませんが、税金の滞納を長期間続けて勧告も無視している場合は、動産執行と言って家の中に踏み込まれて家財が差し押さえられることはあります。

 

また自由財産には差押禁止債権というものもあります。差押禁止債権には給料、賃金、棒給、退職年金、賞与等の給与4分の3相当の金額、退職金・退職手当などの性質の債権の4分の3相当の金額、国民年金・厚生年金・共済年金などの公的年金の受給権、失業保険による給付金の債権、生活保護費の受給権などが当てはまります。

 

拡張が認められる財産とは

実際の裁判所の運用では「99万円までの現金」と「差押禁止財産」以外にも、破産管財人の判断で「自由財産」として認められるものがあります。これを自由財産の拡張と言います。

 

この自由財産の拡張が認められれば自動車や銀行預金、退職金なども合計額で99万円以下まで保有することができます。自由財産の拡張が認められる財産は、裁判所によっても微妙に運用が異なります。一般的には以下のものが挙げられます。

 

  • 預貯金、定期預金
  • 保険の解約返戻金
  • 自動車
  • 賃貸部屋の敷金返還請求権
  • 退職金債権、退職金見込額
  • 電話加入権

 

また、上記の財産であれば全て拡張財産として認められるわけではなく、金額に関しても基準があります。こちらも裁判所によって運用が異なりますが、自由財産の拡張には20万円基準と99万円基準があります。

 

20万円基準とは、財産の種類1つ1つについて「20万円を超えているかどうか?」で判断されます。一方99万円基準とは、財産1点1点の金額に関係なく「合計額が99万円を超えているかどうか?」で判断される基準です。ただしこの合計金額にはもともと自由財産である「現金」も含まれます。

 

なお、「拡張できる自由財産」に含まれないものであっても、生活再建のために必要と認められた財産であれば、自由財産の拡張の範囲として認められる可能性はあります。


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